楽をしてやる勉強法 パート2
勉強までを最速化すれば楽になる
前回では、TO DOリストの活用について、述べました。しかし、TO DOリストを作っただけでは、楽をしてやる勉強法とは名乗れません。
TO DOリストを作って、「よし、勉強するぞ!」と思っているあなた。その日の勉強は「負けやすい」です。
確かに、TO DOリストを作ってやるべきことが決まっている分、ほかの人よりは一歩リードしています。しかし、最速で勉強に取り掛かれる準備をしていますか?
こんな悩みがよくあります。「勉強のやる気が起きない。」「勉強をやろうと思ったけど、つい漫画を読んでしまった。」
それは、誰もが持っている悩みだと思います。しかし、そんな人たちの共通の特徴は、最速で勉強に取り掛かれる準備ができてないということです。
では、「最速で勉強に取り掛かれる準備」とは、どんなものでしょうか?
パート2で主に述べていきます。
おさらいですが、勉強をするうえで、最も使える心理効果が2つあります。
・「ツァイガルニク効果」
→途中の状態のものが気になってしまう。
例)ゲームがクリアできないと、クリアするまでやりたくなる。
(ちなみに、この効果の応用で、「達成したものは気にならなくなる」という法則もよく使います。)
・「アフォーダンス」
→なんとなく、とるべき行動がわかってしまう状態にしておくと、行動が起こしやすくなる。
例)目の前に漫画が置いてあると、つい手に取って読んでしまう。
これらは、パート2やそれ以降でも使っていく心理効果ですので、覚えておいてください。
「最速で勉強に準備」とは、勉強に取り掛かるまでの時間を最短にしておくということです。
では、勉強に取り掛かりやすい環境とはどんなものでしょうか?
まず、1つめは、必要なものがすぐに取り出せる環境です。
家で勉強をしたいなら、教材をいつでも取り掛かれる状態にする必要があります。いつも使うものはわざわざ収納する必要などなく、いつでも取り出せる状態にしておくことが大切です。
携帯電話をわざわざクローゼットに直す人はいませんよね?使いたいなら取り出しやすい場所に出しておくというのが鉄則です。目に見えて、すぐに取り出せる場所に直すのがベストです。
2つ目は、手順を減らすことです。
つまり、取り掛かりまでのステップを最速化することが必要なのです。勉強をするときに皆さんはすぐにとりかかることができているでしょうか?
例えば、 ワークをするときに、
「どのワークをするかきめる」→「筆箱とワークをバックから取り出す」→「机においてワークを開く」→「筆箱からペンを取り出す」→「勉強する」
などのステップが考えられます。
なかには、勉強するために「片付ける」というステップを踏まないといけない人もいるかもしれません。もっと言うならば、TO DOリストすら作れていない人は、何をすべきか考えるところから始めないといけません。勉強するまでにこんなに手順があるならば、勉強を始めるまでの1歩目が出ないのも当然です。
勉強をしたいなら、取り掛かりのステップを「勉強する」の1つで済むような準備をすることが必要不可欠です。
まず、机が散らかっていると確実に集中できません。その理由は、アフォーダンスの考えにあります。「なんとなく、とるべき行動がわかってしまう状態にしておくと、行動が起こしやすくなる」というのがアフォーダンスでしたが、机が、いらないものであふれていたら、アフォーダンスを満たしているといえるでしょうか?
やるべきことがなんとなくわかる状態を作ることこそが、「最速で勉強に取り掛かれる準備」と言えます。
そのため、机には、その日おこなう勉強の道具以外は絶対に置かないでください。
さらに補足すると、人間は2つのことを同時に行うことが苦手です。
例えば、こんな実験がありました。歩きスマホでメールを打ちながら進む場合と、スマホで先にメールを打ってしまってから、進む場合では、どちらが早く目的地に着くかという実験です。この結果は、はるかに後者のほうが早く目的地に着くというものでした。
つまり、1つのことを処理してから、次のことを行うほうがはるかに効率は良いのです。
TO DOリストでやるべきことは、決まっていると思いますので、その中から、一つ選んで、それだけを机に置いておいてください。(ほかのやるべきことは、机以外の取り出しやすい場所に置いておく)1つずつ処理して、次の勉強に向かう癖をつけましょう。
他にも、勉強道具以外を机に置かないことは、場所と行動を関連付けることにつながります。
例えば、机に向かってもなかなか集中できないという人はいませんか?
そんなあなたは、机でスマホをいじったり、漫画をよんだりしていませんか?
そのような行動は脳に「机は、スマホをいじったり、漫画を読んだりする場所なんだ」という意識を植え付けてしまいます。
(ちなみに、ベッドでスマホをいじっている人も、要注意です。)
そこで、「机は、勉強する場所」という場所と行動の関連付けを持たせましょう。
それでも、「私は、意志が弱くて、机でついついスマホをいじってしまう」という人もいるでしょう。
そういう場合は、机でやることを3択に絞るといいでしょう。
その理由は以下の2点です。
① 人は3択までしか選択することができない。
② 人は、自ら選択したものに価値を感じる性質をもつ。
例えば、机でやることは
(1) 勉強 (2)読書 (3)日記をつける
などの3つの選択肢を与えておけば、机とは関係ないことしないで済みます。
ここで、片付けについても少し話しておきましょう。(ちなみに、勉強と片付けは非常に密接な関係にあります。それについてはパート3以降でも詳しく述べていきます。)
まず、ものを取り出しやすい状態にしておく必要性は先ほども述べましたが、いらないものであふれた場所から、ものを取り出すというのはいささか難しいと思います。
ものは使われてはじめて意味を持ちます。
そのためにも、いらないものを捨ててしまうということが非常に大切です。
人間は一度所有したものは捨てたくないという心理効果があります。
(ちなみに、この心理効果を使った有名なものとして、「押してダメなら引いてみろ」という恋愛法則があります。これは、一度相手に自分を所有させたあと、離れることで、「捨てたくない」という意識を植え付けるというものです。)
そのため、部屋が片付けられない人は、ものを捨てる基準が甘すぎます。
何度も繰り返しますが、使うものだけを残して、ものを取り出しやすい状態を目指しましょう。
ものを捨てられない人のために、テクニックを紹介します。
まず、部屋のものが全部なくなった場合を想像してみてください。
あなたは、今、何も持っていません。
そこで、あなたが買いなおすとしたら、何を買いますか?
その買いなおすものこそ、あなたが必要とするものです。それ以外のものは捨ててしまいましょう!
ちなみに、「いつか使えるかも」でものを捨てきれない人もいますが、その「いつか」にタイムリミットをつけましょう。タイムリミットをつけきれないものは、捨ててください。
また、捨ててしまった後に、「やっぱり必要だったじゃないか」と文句を言う人もいますが、それは、ものを捨てたからそのものの価値がはっきりしただけで、たとえ捨てていなかったら、そのものの価値が見えていないと思います。
ものを捨てることは、取り出しやすい環境を作ることです。つまり、ものを探す時間を、ほかの時間に充てることにつながります。
「ものを捨てる=人生の時間を買う」という考えを持てば、ものを捨てることの重要性がわかると思います。
バックの中もその日使うものだけを入れて、ものをすぐに取り出せる状況をつくってください。
ポイントは、「使うかもしれない」ものを入れるのではなくて、「使うもの」を入れることです。
よく、ファイルの中に、プリントがたくさん入っている人を見かけますが、その中から、使うプリントをすぐに取り出すことはできるでしょうか?
ファイルの中も、その日に「使うもの」だけを入れることを心がけてください。
また、使わないプリントは捨てる、ファイルを教科ごとに分けるなどの工夫もおこなうとよいでしょう。
今回は、最速で勉強に取り掛かれる状況を作ることの必要性を述べていきました。
ちなみに、ツァイガルニク効果も利用して、勉強を途中でやめた状態で机に勉強道具を置いておくとさらに、勉強に取り掛かれるスピードが上がります。
机には、その日の勉強で使うだけを置いておくことの必要性は理解できたと思います。
次回は、集中力をさらに上げる方法について述べていきます。お楽しみに!
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